ジクウドライバー買いに行ったらママチャリで10時間走らされた話

ある夏の日のこと、NO2は思いました

「ジクウドライバー欲しい」

ジクウドライバーって何?アレだよ、仮面ライダージオウのベルト

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これ

七色に光るセグメント表示付き、360度回転など様々なギミックを備えたジクウドライバーは俺にとって輝くように見えたのです

 

「まあ最寄りのちょっと大きめの電気屋にあるやろ!」と高を括っていた俺は自転車で走り出しました。これが10:00でのこと

 

ここから悪夢が始まる

 

最寄りのコジマ電機にヤマダ電機の歌を歌いながら入ったところ、そこにあったのは、ニンテンドースイッチ、パソコン、よくわからんケーブル…

あれ?ジクウドライバーなくないっすか?

 

そう、最寄りのコジマ電機は品揃えに遊び心があんまり無く、あったとしてもニンテンドースイッチくらいのものだったのです かなしいね

 

ここでNO2に電流走る───────────────

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「ちょっと田んぼ超えたあたりにドンキあったな…」

 

NO2の記憶の通り、田んぼをメチャクチャまたいだ向こうは文明社会が広がっており、そこにはゲーセンだのドンキだのがあったのです

俺のグランマが言っていた ドンキに売ってないものは無い

NO2は走り出しました。田んぼの向こうにあるドンキ、そしてジクウドライバーを求めて。

 

ここから自転車で10km走ります

そうです。NO2は母の車に乗せられてしか向こうのドンキに行ったことがなかったので全く距離感がわかっていなかったのです。

とりあえずママチャリを漕ぎます。

ここでNO2、あることに気付く

 

熱中症になったら困るな…」

熱中症になったらマジで脳がゆで卵みたいになってしまうらしく、NO2はひどく怯えていました。何?脳みそゆで卵って ヤバ

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(熱中症のイメージ 脳のタンパク質が熱で変性してヤバいことになります)

 

とりあえず道中のコンビニでポカリスエットを一本買いました。水分と爽やかな甘味が身にしみるようで、とても清々しい気分になりました。たぶんポカリ飲んでる時「夏だな~」とか思ってたんだと思いますがコイツこのあとに起こることを何も理解していません。

 

ここでNO2にある異常が発生します。

「頭いてえ…」

原因不明の頭痛、多分運動しすぎて体が驚いたんでしょう なぜ変身後に頭が痛むのかァ……

 

水分はちゃんと摂ったので休めば回復すると思い、橋の下でちょっと休憩。

その時、

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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NO2の耳に爆音が轟きます。そう、NO2が休んでいた橋は東海道新幹線を渡す橋だったのです。心臓に悪いんじゃボケ

 

ビックリしたついでに頭痛が治ったので、また自転車を漕ぎます。

マジで田んぼしか無いので漕ぎ続けます。幼稚園くらいしかなかったです 子は宝だね

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マジで田んぼしか無いです

 

そうしてようやくドンキに着きました。長く苦しい戦いだった…

ドンキのおもちゃコーナーに行き、商品を物色します。

ビルドドライバー、ジカンギレード、ジカンザックス…

 

ん?

 

ジクウドライバーなくね??????????

 

結果から言うとジクウドライバーはありませんでした。ジカンギレードがあってジクウドライバーがねえっておかしいだろそれよぉなあ

このままでは仮面ライダージオウではなくただ剣持ってる人になってしまうので、ジクウドライバー探しは続行です

 

たぶんこのへんで12:00くらいだったと思います

 

ちなみにドンキの近くにヤマダ電機もあったのでそっちにも向かいましたがスイッチの周辺機器しかありませんでした。

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嘆いても仕方がないので漕ぎます。

しかし、これ以上探すところはありません。Siriに聞きましょう。

「HeySiri、近場のおもちゃ屋

「該当するものが見つかりませんでした」

近場には無いのか、それともSiriが嫌がらせをしているのかはわかりませんでしたが、とにかく無いようです。

暇な時Siriに「うんこ」とか言ってたバチが当たったのでしょう。

 

こういうときは携帯のマップを頼りにするのが一番です(ちなみにこのマップくん、あとでとんでもないことをやらかします)

 

トイザらスで検索をかけると…

 

あったッ!ここから南に5キロメートルッ!

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(イメージ図)

もうここまで来たので手ぶらでは帰れません。意地になってました。

ひいこら言いながら漕ぎ続けます。しんどい。労力に見合わない。

 

そして、トイザらスに着きました。

あったのは、ビルドドライバー、ジカンギレード、ジクウドライバー…

あったッ!あったぞッ!

ジクウドライバーがありました。しかも腕に着けるウォッチホルダーもセット!ゲイツウォッチも付いてるぜ!

ここまで15kmほど走ってきた甲斐がありました。オヒョヒョ~~~!!

結構デカめの箱だったので荷台に乗せ、紐で巻き付けて固定しました。あとは帰るだけです。

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そしてここから地獄が始まる

 

NO2は思いました。

「この辺って海が近いんだな…」

 

ここから何をトチ狂ったのか海へ向かいます。

産まれたばかりのウミガメじゃないんだからさ

 

更に南下!南下していくと結構栄えた町と海に出ます。

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海です。バーニングディバイドしたくなりますね。

たぶんこのへんで14:00くらいじゃないですかね


よし、海も見たし帰るか!

そしてマップで家にマークを付けて向かいます(ここでとんでもない間違いをしています)

よし!家まで20km!

20km!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!?

バカクソ遠いです。

とりあえず漕ぐしかないので頑張ります。

海沿いの道路をヒイヒイ言いながら走ります。駅の名前で大磯とか見ましたね。あと旧吉田茂邸とか見かけました。史跡~

とにかく漕ぎまくります。死ぬほど漕ぎます。途中に薬局があったのでそこでお茶を買い、ちょっと休憩します。

そしてまた漕ぎます。気が狂う

海沿いの景色はとても綺麗ですが、曇ってるわ疲れるわで見てる余裕がありません。

 

そして、ようやく指定したポイントに着きました。マジで長かったです。

 

ここでNO2、あることに気付く。

家なくね?

そう、家がないのです。物理的にないです。周辺地域に見覚えもないです。

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NO2、やらかしました。

マップで設定したポイント、実は家ではなかったのです。完全にミスりました。

もう一回、次はちゃんと正確に自分の家をマップで探します。

ちゃんとマークを付けます。

最短距離を表示します。

 

20km。

 

20km!?!?!?!?!?!?!?!??!?!?!??!!??!?!?!?!?!??!?!?

発狂した。

またここから20km。脚は限界そのものです。

でも電車に乗るわけにもいかない、車もない、車があったら車で来てるわ。とにかく家に向かって漕ぎます。たぶんこのへんで16:00くらいじゃないですかね あんまり覚えてないです

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イメージ図

空が暗くなってきました。それは日が落ちてきたことだけにはよりません。

雨雲が私の頭上に立ち込め、ぽつりぽつりと小雨が降ってきました。かなりヤバいです。ジクウドライバーは袋で覆ってあるから良いにせよ、雨というのはそれだけ人間の精神を削ります。

道中、ある小学校にたどり着きました。雨が収まるまで軒下で休憩してもいいか尋ねると、職員さんは快諾してくれました。人のぬくもりですね。

しかし、雨が収まる様子はありません。この近くに詳しい職員さんに今から通る道のことを話すと、「あ~、これ山越えるルートだね」と言われました。

 

山を越える???????????????????????

そうです。あろうことかマップくんは「最短距離を表示」というNO2の指示を真に受け、「山越えたら最短距離やんけ!」と山越えルートを提示してきたのです。コイツマジでさあ

職員さんの「山越えはいかん」という言葉に従い、今まで走ってきた海沿いルートを逆走する形での帰還を計画します。だいたいこのへんで17:00くらいだと思います

雨が少し降っているのでどうしようかなと思っていると「これを着ていったらいいんじゃない?」と職員さんがくれたのは、角と底を丸く切り抜いたゴミ袋でした。これを着れば雨合羽の如く雨風をしのぎながら自転車を漕ぐことが出来ます。マジで頭が上がりません。

 

職員さんに感謝しながら、今まで漕いできた道を逆走します。もうこの時点で発狂していたので「ボスラッシュみたいだな~」と思って走っていました。

そんな中、一人の警官さんに出会います。

近頃自転車の盗難が流行っているらしく、君の自転車を見せてくれと言われました。いわゆる職質みたいなもんです。

まあ後ろめたいことも何もなかったのでスムーズに事は進み、気を付けて帰ってねと言われました。

 

マップが表示する道をひた走ります。道中、トトロにありそうな森を見たり、牛小屋で牛がモーモーと鳴いているのが見えましたが、もはやそれを見る余裕はありません。

気がつくと雨は上がり、頭上にはただ暗いだけの夜空が広がっています。

とにかく進むしかありません。携帯のマップくんがすべての運命を握っているのでそのまま走っていると、奇妙なことが起こります。

マップくんが出している道は、NO2の眼の前にまっすぐと通っているはずでした。しかし、NO2の眼には草の生い茂った、獣道のような道しかありませんでした。マジ?ここ通るの?

 

しかし道はもはやわからないので、ここを通るしかありません。NO2は虫が嫌いなので、ちょっとスピードをつけて走り抜けます。

そうしてNO2の前に見えたのは、

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そう、街の灯りです。

この時、NO2はやっと人が作り上げた光を見た安堵からか、「文明の火だ…」と独り呟きました。

街の灯りとは奇妙なもので、人の勇気とかそういうものを増幅する力があるのでしょう。NO2は脚が軽くなったように思い、マップの指示する道を走ります。

 

そうして走り続けていると、見覚えのあるスーパーが見えました。最初に来たコジマ電機が見えました。最寄りのコンビニが見えました。

 

家に着いてジクウドライバーを置き、お風呂を沸かしてゆっくりと浸かりました。時計を見ると20:00でした。

そうして、NO2の10時間にも渡る旅は終わりを迎えたのです。

 

教訓

遠出するときは電車に乗ろう!